人口減少に負けない『未来を見る力』(by河合雅司)

 ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者の河合雅司さんは、最新刊『未来を見る力 人口減少に負けない思考法』(PHP新書)の中で「これから急激に進む人口減少に対応するには、戦略的に縮むことが必要」と言っています。

 河合さんは「少子化は止まらない」「人手不足は外国人・女性・高齢者・AIでは解決できない」「拡大志向の経営は通用しない」「終身雇用は崩壊する」と予測します。そのうえで、高齢者マーケットの開拓の仕方を高齢者が使いやすい商品設計、高齢者をサポートするサービス、鉄道沿線のまちづくりなどの必要性を示しています。

 地方の衰退の解決策としては、地方に「拠点」をつくる必要性を訴えています。全国各地に20~50万人規模の人口集積地を点在させ、コミュニティを創り出すことで、これまで以上に快適な暮らしが実現できるようにする。企業活動(企画、開発、販売)のすべてをその内部で完結させ、小企業でも利益が上がるようにする。人口が減少しても集住することで人口密度を高め、前よりも活気を生み出すようにする。地域の人口が減っても「拠点」の人口を増やすことで、豊かさを維持できるようにする。

 河合さんの縮小戦略の考え方は、コミュニティデザイナーの山崎亮さんが提唱する「縮充」(縮みながら充実させて質感が良く暖かい地域社会をつくる)に通じるものがあります。こうした考え方が広がり、人口減少でも暮らしやすさを実現する社会が生まれることを期待しています。