DXを正しく活用する(by河合雅司)

 コロナ後の人口減少時代に対処するために、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を正しく理解して活用することが必要と、『未来の年表』の著者・河合雅司さんはいいます(河合雅司『コロナ後を生きる逆転戦略 縮小ニッポンで勝つための30ヵ条』文春新書)。

 「DXは単なるITによる省力化ではなく、経済産業省が定義するように、企業文化・風土を変革して競争に勝つこと。DXを新しい価値観の創造やニーズの掘り起こしに繋げていければ、従業員1人当たりの利益高を上げ、給料や所得水準を引き上げられる。そうなれば、労働者=消費者のマインドも上向きになる。DXを中心に働き方が変わり、企業の経営が変わり、行政も効率化する」というのが河合さんの考えです。DXが時代を変える流れを的確に言い表しています。問題は、こうした考えが広まっていないことです。

 企業がテレワークの導入に苦戦しているケースが多く報道されています。単なるIT化だけで対応しているからでしょう。仕事のやり方そのものを変えなければ、テレワークで生産性を上げることは困難です。これまでの手法を見直し、デジタル化時代に即した仕事のあり方を考えなければなりません。

 DXを単なる流行にとどまらせず、時代を変える仕掛けとして多くの企業にポジティブに取り組んでほしいと思います。