スタートアップ・ブームはピークアウトしたのか?

 2023年の我が国のスタートアップの資金調達額が7,536億円となり、2022年の9,664億円を2割以上下回りました(INITIAL発表)。これにより右肩上がりで伸びていたスタートアップの資金調達は2022年がピークとなったため、ブームが落ち着きつつあるように見えます。しかし、ピークアウトの原因が海外からの投資の急減であったり、100億円以上の調達は2023年が過去最高の件数となったり、日本ベンチャーキャピタル協会のCVC会員数は増え続けていることから見ると、まだブームの勢いは衰えていないようです。

 今後の課題は、スタートアップ・ブームの熱を保ち続けることでしょう。日本銀行もそうした問題意識から、「わが国のスタートアップを取り巻く状況と地域における取り組み」というレビューを4月16日に発表し、京都などの地方でスタートアップ支援ブームが起きていることを伝えています。同レビューでは、スタートアップの成功事例が蓄積され、スタートアップ・エコシステムと呼ばれる自律的な成長メカニズムが働くことに期待を寄せています。そのために人材の集積が進むことが大切とも指摘していますが、これは今、国が力を入れている起業家教育にも通じるものです。少子化という逆風が吹く中で、スタートアップ人材を増やしていくことが、切実に求められています。

 スタートアップ・ブームが終わるか続くかは、国内に人材の厚みをどれだけ生み出せるかが鍵になります。そのため小中高校での起業家教育の取組みが重要になっています。学校教育の課程に起業家教育を設けることが必要ということだと思います。