中小企業白書の副題が示すもの

 今年の中小企業白書は50回目の節目ということもあり、これまで発表された白書の副題が一覧表にされています。
 ざっと見ても「中小企業分野の新展開(1970年)」「80年代を拓く中小企業の活力(1980年)」「景気拡大下で進行する中小企業構造の変化と新たな発展への課題(1990年)」「IT 革命・資金戦略・創業環境(2000年)」「ピンチを乗り越えて(2010年)」と、中小企業が常に時代の変化にさらされ、それに対応していこうと苦闘してきた跡がうかがえます。
 二度のオイルショックに見舞われ、経済成長率が大きく低下した70年代の副題は、特に厳しいものばかりです。「変わりゆく中小企業(1971年)」「変化と多様性時代への適応(1972年)」「発展への試練(1973年)」「安定成長経済への適応と発展(1975年)」「試練の中の中小企業(1976年)」「厳しさの中に活路を求めて(1977年)」「新たな試練を生き抜く中小企業(1978年)」「変わりゆく時代への活力ある対応(1979年)」と見てくると、昔も厳しい環境変化にさらされていたことがわかります。それでも先人たちはあきらめずに強い意志をもって苦境を乗り越えてきたのです。
 私たちが現在直面する変化は、少子高齢化グローバル化、IT化です。これらの波に中小企業・小規模事業者はどう対応していくのか。今年の副題は「自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者」です。これまでの歴史に学び、成長して変化に立ち向かえという力強いメッセージだと思います。