コロナ休校時に子供たちを受け入れて従業員の生活を守った工務店(岐阜県飛騨市)

 今年3月、全国の学校が新型コロナウイルス感染症対策で休校となり、子供をもつ親御さんたちが困った事態に追い込まれました。仕事があるのに子供の面倒もみなければならない。仕事を取るか、家庭を取るか。この問題の解決に力を尽くした小企業が、飛騨市にある(株)奥野工務店です(中小企業庁編『小規模企業白書2020年版』Ⅰ-94、事例1-1-4)。

 同社は、食堂兼休憩室を子供向け自習室として、従業員の子供3名を受け入れました。入室時は手洗い・うがいを義務付けるなど、感染予防を徹底しました。普段から従業員同士の交流も盛んで、家族ぐるみで面識があったことから、運営はスムーズに行われました。食堂兼休憩室には、両親だけでなく他の従業員も顔を出し、子供たちと交流して、社内が明るくなったとのことです。

 小企業のよさは環境変化への柔軟な対応や地域への密着と言われますが、このケースはまさに小企業が未曾有の危機対応においてそれらの長所を発揮した好例といえるでしょう。