従業員の自己肯定感を高めて成長する中小企業

 売上高、従業員数が10年前の倍になり、直近5期連続で増収増益を果たしている漆器メーカーがあります。福島県会津若松市にある(株)三義漆器店です(2022年版中小企業白書Ⅱ-126「事例2-2-6 従業員と共に働きやすい職場環境を実現することで感染症下においても5期連続の増収増益を達成している中小企業 株式会社三義漆器店」)。

 同社の成長の秘訣は、従業員参加型の職場環境づくりを行うことで従業員の自己肯定感を高め、成長意欲を促し、従業員の成長に企業の成長を重ねて実現したことにあります。

 社長の曽根佳弘氏が、福島県中小企業家同友会に参加し、経営者仲間が経営理念、方針、計画を盛り込んだ「経営指針書」を作成していることに感化され、自身も2015年に指針書を作成して従業員に公表しました。さらに従業員に対して、働きやすい職場環境を実現するための「ハウスルールづくり」を行わせ、主体的に働き甲斐のある会社を目指すようにしました。従業員が社長への思いや改善事項、相談事を伝えられる「社長ポスト」を設置して、従業員の声を聞くことにより、時間単位の有給休暇取得を可能にしたり、社内規則や制度の改善を行いました。こうした努力が積み重なり、5期連続の増収増益を可能にしました。

 従業員の自己肯定感を高めて企業の成長に結びつければ、コロナ禍でも企業は成長できるという希望に満ちた事例です。