補助金以前に小企業の生産性革命に必要な3要素

 中小企業庁が今年から「中小企業の生産性革命」を進めるため、各種補助金(ものづくり、IT導入支援、小規模事業者持続化、ビジネスモデル構築等)を整備しています。

 政府が用意した生産性向上策を効果的に進めるためには、小企業における経営の基本を固める必要があります。経営理念を確立し、経営計画を立て、PDCAを回す。当たり前に見える基本的な3要素ですが、小企業にはできていないことがほとんどです。

 自社は何のためにあるのか。どんな社会貢献をイメージしているのか。漠然とした思いはあるはずですから、明確にして文書化します。それが経営理念になります。見える化することで、自社の方向性が明確になり、経営の意思決定がスムーズになり、従業員や外部のサポーターの協力を得やすくなります。

 社長は年収をいくら取りたいのか。1,000万円か、1,500万円か、それ以上か。そこから逆算して売上目標が決まります。売上目標を単価で割れば、獲得すべき顧客数が決まります。その数の顧客をどう獲得すべきかについて、商品・販売・仕入・人手などの面から考えを具体化します。それらをまとめたものが経営計画になります。

 立てた計画(Plan)を実行し(Do)、結果を検証し(Check)、修正して新たな計画を立てます(Action)。このPDCAを毎月、毎年、回していきます。

 家業だから理念や計画という高尚なものはいらないという甘い考えは捨てなければなりません。小企業も立派な企業です。社長は理念と計画を作り、PDCAを回して、足りないところは従業員やサポーターに相談して補っていかなければなりません。

 経営の基本を固め、家業を企業にすることで小企業の生産性は向上します。しかし小企業だけではできません。地域の金融機関や経営支援機関(商工会議所、商工会、よろず支援拠点など)の支援が必要です。

 地域を上げて小企業の生産性を向上させることが、今の日本に求められています。