小企業はもっと夢を語ろう

 2020年版中小企業白書(Ⅱ-P15~17)では「経営者が若いほど、従業員規模が大きくなるほど、事業を通じて実現したい夢を有する企業の割合が高くなる。夢を持つ企業の方が持っていない企業より労働生産性が高い傾向にある」ことが述べられています。より多くの従業員を束ねる企業ほど、ビジョンを明確に定め全社員に共有している、だから高い生産性を発揮できるというのはわかりやすい話です。そのとおりでしょう。しかし、それは小企業が夢を持っていないということではありません。

 小企業もまた、事業にかける熱い想いがあります。それは自社が提供する商品やサービスを通じて世のため人のために役立ちたいという情熱です。しかしそれを具体的な言葉にできず、我が子や従業員に語らない経営者が多いことも事実です。夢を語ることに気恥ずかしさを感じる経営者も多いでしょう。自分が提供する価値に絶対の自信を持てない経営者もいるでしょう。小企業は夢を持っていないのではなく、語らないだけです。これが事業承継を難しくする要因でもあります。

 小企業はもっと自信を持ちましょう。そして自分の夢を、子供や従業員に語りましょう。そうすればたくさんの人が支援してくれます。多くの人と夢を共有することで、事業が長続きするようになります。先の見えにくい時代だからこそ、人は堂々と夢を語る人に憧れます。小企業経営者は、堂々と夢を語ることができます。人々の憧れになってほしいと思います。