小企業は、どんぶり勘定を見直すと甦る(by立石裕明)

 経済センサスによると、2009年~2016年の間に大企業は800社程度減少していますが、小企業は約60万社、6社に1社の割合で純減しています。従業者数が大企業で30万人減、小企業で240万人減という状況も合わせてみると、人口減少に伴う需要の減少、グローバル化とIT化による競合の激化により、小企業の淘汰が進んでいるようにみえます。
 経営環境が昔以上に厳しくなっており、小企業はこのまま衰退していくのではないかと心配されるところですが、小企業にはまだまだ伸びしろがあると、事業承継・再生コンサルタントの立石裕明さんは言います(立石裕明どんぶり勘定だからこそ、あなたの会社はこれから伸びる~小規模事業者革命~きこ書房)。
 立石さんは、淡路島のホテル経営者と兵庫県商工会青年部連合会会長を務めたキャリアをもつ小企業アドバイザーです。『下町ロケット』の佃製作所を大企業だと感じる事業者へのアドバイスは、経営者としての体験に裏付けられており実践的です。
 小企業の多くはどんぶり勘定で経営しています。それを見直して、年収1,000万円を目標にして無駄な経費を削る、取引先を利益率の大きなところにシフトするだけで、経営は劇的に改善すると立石さんは言います。見やすい経営計画を簡便に作成できる「経営計画つくるくん」(中小企業基盤整備機構)という無料ソフトも紹介されています。
 厳しい環境を生き延びている小企業はすごい努力をしている、どんぶり勘定を見直せばV字回復する。立石さんのメッセージは、多くの小企業に勇気を与えてくれると思います。