大廃業時代の優先施策は「承継型創業支援」

 今、日本は大廃業時代を迎えたと言われています。中小企業庁の試算では、日本の中小企業経営者のうち6割(245万人)が2025年までに70歳以上になります。その半数(127万社)が後継者未定になり、その半数(60万社)が黒字にもかかわらず廃業に追い込まれ、650万人の雇用と22兆円の国内総生産GDP)が失われる見込みです。
 この大変な問題に対処するために、中小企業庁では事業承継支援に力を入れています。親族内の承継がなかなか進まないため、第三者による承継(M&A)に支援の軸足を移しています。これを受けてTRANBIなどのマッチング事業者が活況を呈しています。黒字の中小企業を引き継いで事業を始めたいと考えるサラリーマンが多いためです。創業予備軍にとっては、大廃業時代が一つのビジネスチャンスになっています。
 従来の創業は、自力で経営資源を集めて事業を立ち上げることが基本でしたが、今なら、廃業しかけている企業を買い取って、取引先や従業員、営業設備、商品在庫などを引き継いでスマートに創業することができます。これにより、事業立ち上げにかかるコストを削減するだけでなく、販路などを引き継ぐことで成功確率を上げることができます。さらに「代替わりイノベーション」を行えば事業内容をバージョンアップすることもできます。承継型創業は、単なる創業より有望だと言えます。
 これからの創業支援は「承継型創業支援」を中心に据えて行われる時代がきたようです。