どっこい生きてる? 隠れ自営業467万

 中小企業庁の発表では小規模事業者の数が大きく減り続けているといわれています(「事業承継ガイドライン」および中小企業庁HP)。1999年には423万者あったものが年々減り続けて、2016年には305万者と、17年で118万者も減少しています。特に足元の2014~2016年は、2年間で20万者も減少したと報告されています。1年で10万者減少しているというすごい話です。
 これに対して、実は隠れ自営業が数多く存在するというレポートが労働政策研究研修機構からなされました(高橋陽子「日米における自営業主数の計測」JILPT Discussion Paper Series DP18-07)。この研究によると、我が国には隠れ自営業が467万存在するそうです。自営業の定義がよくわからないために自身が自営業という認識がない自営業主(オンラインプラットフォーマー、オフラインプラットフォーマー)がいるとの仮説を立てて調査した結果、2017年で隠れ自営業が467万いる可能性が示唆されたとのことです。
 米国では多様な働き方が増え、短期間労働や不規則労働で小規模な所得を得る人が増えており、自身が自営業だとは認識していないため、従来の経済統計では把握できない層が存在します。これについて日本でも調査したところ、同様の結果が出たということでした。
 所得が伸びないときに小規模な自営業が増える傾向があることから、賃金の伸びが長年マイナスとなっている日本において小規模な自営業が増えることは十分にありえます。公式統計で把握されている小規模事業者305万に対して、隠れ自営業が467万いるかもしれないというのは、国の政策を変えるレベルの指摘です。調査を続けて実態を明らかにしてほしいと思います。