地方創生の最重要課題は事業承継支援

 本格的な人口減少時代を迎え、地方創生が各地で叫ばれています。県外から若者を呼び込むために働く場づくりである創業支援に力を入れようと、どの自治体も真剣に取り組んでいます。しかし創業支援以上に取り組むべきは、事業承継支援でしょう。既に存在する企業が失われる方が、創業が少ないことよりも深刻だからです。
 我が国の企業数は1999年から2014年の15年間で2割以上にあたる103万も減少しています(中小企業庁『事業承継ガイドライン』)。ほとんどが小規模事業者です。国民に身近な働く場であり、マネーを生み出す場でもある小企業が、驚くべきペースで減少しているのです。これでは国が豊かになりません。
 創業しても継続しないのであれば、創業する意味はないと思う人も多いでしょう。創業支援のジレンマもここにあります。事業を継続できる見込みがなければ、創業に踏み切るのは難しいのです。創業を活性化するには、事業を継続させる取組みを強化する必要があります。伴走型支援が求められるのもそのためです。この部分をさらに突き詰めると、廃業を抑制する事業承継支援にたどり着きます。
 経営者が70歳以上の小規模事業者においては、3割が後継者未定の状況にあり、廃業の危機に瀕しています。大変深刻な問題であり、喫緊の切実な政策課題です。地域をあげての真剣な対応が求められます。