衰退産業を救う「代替わりイノベーション」(by藻谷ゆかり)

 「商店・旅館・農業・伝統産業のような衰退産業は、ローテクで労働集約的ながら長く続いてきて生業としてやりがいがあり、残すべき価値がある。代替わりの際にイノベーションを起こせば、衰退産業でも経済成長をもたらせる」と巴創業塾主宰の藻谷ゆかりさんは著作の中で語ります(藻谷ゆかり衰退産業でも稼げます-代替わりイノベーションのセオリー』新潮社)。
 「ビギナーズ・マインド」「増価主義」「地産外招」で「ローカルな強みを磨き上げ、外から人を招くことができる独創的な価値がある財・サービスを創出する」ことに成功した16の事例を紹介しながら、衰退産業の復活の方向性を具体的に示しています。「ビギナーズ・マインド」で今の事業を客観的に見て、新しい価値を見出す。「増価主義」で時と共に価値を高める。「地産外招」でローカルな強みを磨き上げた商品で他地域から顧客を招く。経済が成熟し、人口が減少に向かう現代に必要とされる経営戦略です。
 『デフレの正体』『里山資本主義』で知られる藻谷浩介さんの義姉であり、ハーバード・ビジネススクール留学歴と起業の経験がある方の分析と提言には説得力があります。衰退産業の復興に取り組まれる多くの方に参考にしていただきたいと思います。