里山資本主義の真意

 いくつかの媒体が取り上げ始めた里山資本主義。ブームになるかどうかはこれからですが、気になることがあります。里山資本主義という言葉がわかりにくいのです。
 里山と資本主義という相反する言葉が結びつく意味が一般の方には理解しにくいでしょう。里山資本主義は、マネー資本主義へのアンチテーゼという位置づけで生まれているのですが、マネー資本主義という言葉はNHKが特番で使用した造語であり、明確な定義はありません。里山資本主義もNHKが番組の制作上で造り出した言葉です。
 マネー資本主義も里山資本主義も、資本主義という点では一致しています。ビジネスが社会を動かす力になるという考え方は共通しているわけです。そこでマネーに頼るのがマネー資本主義、里山の良さを活かそうというのが里山資本主義と理解すればわかりやすいでしょう。
 では里山資本主義とマネー資本主義の違いは何なのか。里山資本主義は、マネー資本主義で見落としがちな、人と地域との結びつきを重視する点が特徴だと思います。地方の衰退が言われて久しいですが、そんな中で地方の人々が生きていくにはどんな道があるのか。それを指し示すのが里山資本主義でしょう。地方の暮らしは楽じゃない、だから都会へ人が流れるんじゃないかと批判する声もあります。しかし、地方の暮らしにくさを認めたうえで、あらためて地方の良さを見直そうという動きを引き出す里山資本主義は、時代の流れに乗っていると思います。
 大企業から小企業へと社会の目線がシフトしているように、都会から地方へ価値観がシフトしていく。そんな予感がします。