今こそ小企業の時代

 経済成長の文脈の中で存在の是非が議論されている小企業ですが、社会問題を解決する主体としても期待されています。地方にあふれる高齢者、貧困母子、障害者。こうした社会的弱者を支援する役目を担うのが小企業です。働き手として引き立てながら、その人々の所得を生み、生活を豊かにします。それが笑顔を生み、地域に活力をもたらします。

 人口が減少することで縮小する経済は、資本主義から人本主義への転換を引き起こします。人口増加を前提とする資本主義においては、大企業が力を持ち、人々を分断し、孤独化することで消費の拡大をもたらしました。だが、もはや通用しません。人口が減少していくこれからは、お金よりも人の和を大切にする経済が求められます。高齢者、女性、若者、障害者を大切にして、結びつけることで価値が生まれます。

 経済全体が縮む世界においては、人々の心が繋がることで価値が流通し、安定した柔構造の経済ができます。成長はしないけれども縮小しながら充実し、恒常的な平和が生まれ、安心して暮らすことができます。そうした持続可能な社会の実現に小企業は貢献します。

 これからの時代は、成長から縮充へとパラダイムチェンジし、スモール・イズ・ビューティフルの価値観で資源の制約を乗り越え、人々が互いを認め合いながら生き抜くことが最適解となります。そうした持続可能な社会づくりの主役を務めるのが、地味ながらも光を放つ小企業なのです。

 コロナ禍の向こうには、小企業の時代がすぐ近くまで来ています。