日本がSDGsを実現するために必要なイノベーション

 国連が提唱し、世界的な目標となっているSDGsは、限りある地球資源に対して増え続ける世界人口の問題で人類が存続できなくなる危機感に基づいています。17のゴールは、貧困や飢餓を克服しつつ、生産と消費のサイクルが持続する社会をつくることを目指して設定されています(「1 貧困:貧困をなくそう」「2 飢餓:飢餓をゼロに」「3 保健:すべての人に健康と福祉を」「4 教育:質の高い教育をみんなに」「5 ジェンダージェンダー平等を実現しよう」「6 水・衛生:安全な水とトイレを世界中に」「7 エネルギー:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「8 成長・雇用:働きがいも経済成長も」「9 イノベーション:産業と技術革新の基盤をつくろう」「10 不平等:人や国の不平等をなくそう」「11 都市:住み続けられるまちづくりを」「12 生産・消費:つくる責任つかう責任」「13 気候変動:気候変動に具体的な対策を」「14 海洋資源:海の豊かさを守ろう」「15 陸上資源:陸の豊かさも守ろう」「16 平和:平和と公正をすべての人に」「17 実施手段:パートナーシップで目標を達成しよう」)。
 SDGsは世界的な視野でつくられた目標であるため、日本の現状には合わないところもあります。日本には飢餓も絶対的貧困もありません。国民皆保険が普及し、義務教育も行われています。安全な水や衛生も整備されています。不平等もありません。平和も実現されています。こうしてみると、SDGsの多くは達成されているように見えます。しかし、まだ目指すべき部分は残っています。我が国政府が作成したSDGs実施指針には、①あらゆる人々の活躍の推進、②健康・長寿の達成、③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション、④持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備、⑤省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会、⑥生物多様性、森林、海洋等の環境の保全、⑦平和と安全・安心社会の実現、⑧SDGs 実施推進の体制と手段、が掲げられています。
 我が国の場合、人口減少を前提にして持続可能な地域づくりを考える必要があります。人口が減少しても一人当たりの豊かさを維持するにはどうすればよいか。生産性を高めるイノベーションが求められます。それは単なる技術革新ではなく、バリューイノベーションと呼ばれる価値観の改革を伴うものになります。モノからコトへ、金から時間へ価値の置き方が変わり、心の豊かさや時間の大切さが尊重されるようになるでしょう。田舎暮らしのすばらしさが見直され、仕事と生活のバランスがとられ、人間関係の大切さが再認識される時代になるでしょう。
 令和の時代を麗しい平和の時代とするビジョンをもって国内のSDGs実現に取り組み、さらには世界的なSDGs実現に取り組むことが、我が国には求められています。