日本を救う里山資本主義(by藻谷浩介)

 マネー資本主義を追求して行き詰った日本はどうしたらよいのか。その答えが里山資本主義にあると、藻谷浩介日本総研主席研究員はいいます(藻谷浩介・NHK広島取材班著『里山資本主義』角川書店)。
 日本の問題は、経済的には紛れもなく成功したはずなのに、国民の大半が生活に大きな不安を感じていることです。これは、資源を輸入し工業製品を輸出する経済モデルのもとで少子高齢化が進み需要不足・供給過剰となり、国内の資金の流れ(景気)が国の借金頼みになっているためです。このアンバランスな状態が一向に改善されないことが、国民に閉塞感を与え不安にしています。経済成長を前提にしたマネー資本主義では、人口減少社会に変貌した日本は当然、行き詰ります。
 しかし、経済が今以上には成長しないという前提に立てば、新しい生き方が見えてきます。目の前にあるものを有効活用して持続可能経済を構築することです。それが里山資本主義です。高齢者と地域資源を活用し、善意で成り立つ社会を構築するというのが里山資本主義の意味であり美点だと思います。