コロナショック下で企業の生死を分けるもの(by冨山和彦)

 JALやパイオニアなどの企業再生を行ってきた冨山和彦氏は、経済危機において企業の生死を分けるものは、手元流動性の潤沢さ、金融機関との信頼関係、稼ぐ力と自己資本の厚みであると言います(冨山和彦『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』)。儲かるビジネスを展開し、資産の蓄積ができていて、金融機関の信頼があることが、経済危機を生き残るコツということです。ポイントは、儲かるビジネスを継続できることでしょう。
 冨山氏は、借金の仕方にも警鐘を鳴らします。「資金繰り融資はデット性の資本であり、返済猶予・無利子・無担保であっても借金は借金。いつか返さなくてはならない。売上の長期減少による赤字を補う資金や構造改革資金は、助成金や給付金、あるいは出資してもらう、買収してもらうことで手に入るエクイティ性の資本でまかなうべき」。このアドバイスは、実質無利子・無担保融資などの融資に安易に頼ることの危うさを伝えています。
 コロナショックを乗り切るには、資金繰り融資の利用を抑制しながら儲かるビジネスを展開することというアドバイスには、企業再生の修羅場をくぐってきた実践派コンサルタントのリアリズムが感じられます。