画期的なゼロゼロ融資は鳥取県の天才知事のアイデア

 地方自治に天才的なアイデアを発揮される知事が、コロナ禍にある我が国の金融情勢にも大きな影響を与えたという話です(平井伸治鳥取力 新型コロナに挑む小さな県の奮闘中公新書ラクレ)。

 昨年3月に政府系金融機関が、5月に民間金融機関が企業向けに実質無利子・無担保融資(通称ゼロゼロ融資)を始めました。コロナ禍で苦しむ企業の資金繰り支援を行う緊急融資でしたが、無利子・無保証料・無担保というメリットが大きな評判を呼び、全国で爆発的に融資が伸びました。この画期的ともいえる融資制度は、鳥取県平井知事が発案した制度がお手本になっています。

 鳥取県では、2016年に鳥取県中部地震が発生した際、被災した企業向けに「災害等緊急対策資金(平成28年鳥取県中部地震対応)」を発動しました。この融資の特徴は、被災して売上が5%以上落ちた企業に対して、当初5年間は無利子・無保証料で融資を行うという画期的なもので、平井知事の発案でした。この融資のおかげで、被災した企業からは廃業が出なかったそうです。

 2020年に全国で始められたゼロゼロ融資が、売上が5%以上落ちた企業に対して、3年間は無利子・無保証料で融資するという条件ですから、鳥取県の融資制度がお手本になっていることは明らかでしょう。全国初の政策を鳥取県から数々打ち出される平井知事ですが、その影響力はついに全国の金融情勢まで及びました。この融資で多くの企業の倒産・廃業が防がれたわけですから、平井知事は全国の膨大な数の企業を救ったことになります。

 日本のオードリー・タンとも言うべき、こうした優れたリーダーがいる限り、コロナ禍は遠からず乗り越えられると思います。