実質無利子融資は無利子ではなく、本当のメリットは別にある

 今月から民間金融機関で実質無利子融資が始まり、銀行や信用金庫に中小企業が殺到しています。多くの事業者が誤解しているようですが、実質無利子融資は無利子ではありません。当初3年間に割安な利率が適用され、その部分に利子補給が付けば、そこだけ結果的に無利子と同じになるというものです(注:鳥取県は利子補給が5年間付きます)。
 信用保証協会によるセーフティネット保証4号・5号、危機関連保証の認定を受け、売上減少の要件を満たしている者で、3年以内で返済し、利子補給が付く事業者以外には実質無利子にはなりません。4年目以降になると、金利が1.2%(名古屋市ナゴヤ新型コロナウイルス感染症対策事業継続資金)や、1.2~1.4%(愛知県の新型コロナウイルス感染症対応資金)つきます。
 実質無利子融資の一番のポイントは、5年間の元金据置ができ、資本注入と同じ効果があることです。制度を普及させるために「実質無利子」という表現を盛り込んだのでしょうが、「無利子」という言葉が独り歩きした感があります。運転資金を5年間元金据置で利用できるというところが最大のメリットなのです。
 中小企業がコロナショックを乗り切るには数年間かかります。その時間を捻出する手段のひとつが実質無利子融資です。名古屋市では手続きを迅速に行うため、市内の金融機関を「ナゴヤ・中小企業金融ワンストップ連携機関」に認定し、事業者の相談に対応しています。制度の趣旨を理解して、これらの相談窓口を有効活用してほしいと思います。