普及が進む実質無利子融資、その真の意味

 政府系金融機関に加えて民間金融機関にも取扱窓口が広がったことで、実質無利子・無担保融資が広がりつつあります。愛知県では、保証協会がにあることから民間金融機関を通じて急速に普及が進むものと思われます。両協会の融資枠が3万社分あり、政府系金融機関の融資枠も同程度あるとすると、中小企業の3社に1社が利用するくらいまで普及するでしょう。それほど多くの企業が資金繰り改善のチャンスを見出せたわけですが、新たな試練を抱え込んだとも言えます。
 実質無利子・無担保融資といっても融資ですので、返済義務があります。4年目以降は金利も1%以上かかります。返済負担がのしかかってくることを想定しなければなりません。
 例えば、1,000万円借りて10年で返済しようとすると、返済金を捻出するのに年間で3,000万円以上の売上が必要になります(利益率を中小企業白書にある3.5%程度と想定)。コロナショック後の経済情勢が楽観できないことを考えると、これだけの売上を確保するには、相当の工夫と努力が必要です。これまでの経営の延長では対応が難しいはずです。
 実質無利子融資は、中小企業に情報力と連携力を高め、新たなイノベーションを起こすよう求めているのだと考えるべきでしょう。コロナショック後のライフスタイルの変化を読んで、新たな需要を見極め、新商品を開発したり、新分野に進出してこれまで以上の売上を確保することが、これからの中小企業に求められています。大恐慌・大廃業時代における実質無利子融資は、こうした意味を持つものとして理解されるべきだと思います。