『できるリーダーは失敗が9割』(by小山昇)

 「人間は失敗からしか学べない。経験してきたすべての失敗から教訓を引き出し、その教訓を部下に伝えるのがリーダーの役割」とカリスマ経営者で経営コンサルタントでもある小山昇社長はいいます(小山昇『できるリーダーは失敗が9割』マガジンハウス)。

 情報機器の発達とともに社会全体がスピードと正確性を求めるようになり、操作する人間にも機械並みの正確さが求められるようになりました。その結果、少しの失敗でも他人を責める風潮がはびこるようになりました。

 しかし人は失敗することで謙虚になり、学ぶ姿勢ができ、教訓を得て成長します。人が成長するうえで、失敗は必要な要素です。失敗を糾弾することは、人の成長を止めてしまいます。失敗した本人も周囲の人も、失敗を素直に受け止めて、そうならないようにするにはどうすべきかを考えて行動する。その前向きな取組みにより本人も周りも成長する。今の社会に必要なのはこうした姿勢でしょう。

 詩人で書家の相田みつをさんの有名な言葉「つまづいたっていいじゃないか。人間だもの」は、単なるなぐさめと癒しの言葉ではなく、人間が成長するには失敗が必要というポジティブなメッセージが込められているのではないでしょうか。

 たくさんの失敗を乗り越えた人がリーダーとなり、包容力と寛容さをもって人々を導き、助け合い支え合う社会を創り上げていく。コロナショック後の日本には、そうした社会的レジリエンス(しなやかな強さ)が求められていると思います。