レジもない食券式の大衆食堂がAIの導入で生まれ変わった事例が、中小企業白書2019(P295)で紹介されています。三重県伊勢市の「(有)ゑびや」です。
1912年創業の同社は、伊勢神宮の前で100年以上にわたり食堂を経営してきましたが、昔ながらの経験と勘に基づいた仕入れや在庫管理を行っていました。そのためフードロスを多く発生させ、非効率な経営になっていました。2012年に、大手IT企業から小田島春樹氏が入社したことで、経営が一変しました。
小田島氏は、AIを導入し、150種類ものデータと来客数の関係を調べ、90%以上の精度で事前に来客予測ができるようになりました。これによりフードロスは大きく改善され、事前準備も効率化されて従業員の負担軽減になりました。その結果、従業員数はそのままで、売上を4倍に増やし、週休二日制や長期休暇の導入、従業員の給与アップができるようになりました。
小田島氏は2018年に(株)EBILABを設立し、自社で構築した需要予測の仕組みの販売を始めました。昔ながらの飲食店がAIで大きく飛躍したすばらしい事例です。