小企業の生産性向上が強く求められる今、小企業とその支援者に勇気を与える著作が出版されました。佐川友彦さんの『東大卒、農家の右腕になる－小さな経営改善ノウハウ100』（ダイヤモンド社）です。
佐川さんは、東京大学を卒業後、デュポンやメルカリを経て、2014年に阿部梨園（栃木県にある梨の栽培農家）に入り、500以上の改善活動を行い、「平成30年度食料・農業・農村白書（P30-31）」に紹介されました。全国の農家の経営向上を図るため、経営改善ノウハウをまとめた「阿部梨園の知恵袋」を2018年にウェブサイトで無料公開しました。ウェブサイトを制作する費用446万円は、クラウドファンディングで調達しました。最初に公開したノウハウは100でしたが、今では300に増えています。
本書では、ウェブサイトで公開しているノウハウから100を厳選して紹介しています。佐川さんが改善に取り組んだ日々の記録も綴られており、試行錯誤しながら小さな改善を積み重ねて家業が事業に進化していくさまがリアルに感じ取れます。農家の経営改善事例が述べられていますが、農業以外の小企業にも通じるノウハウであり、誰でも取り組めるものです。
小企業にもデジタルトランスフォーメーションの波が襲い掛かる中で、こうした実例を参考にして小さな改善に取り組むことは、経営を向上させる効果が大きいと思います。多くの小企業と支援者の方にお読みいただきたい本です。
