小企業支援で最も重要なもの

 小規模企業振興基本法が制定されたことから、小企業支援のための様々な動きが活発化しています。そのほとんどは、補助金、融資、コンサルティングなどですが、こうした直接的な支援以上に重要なことがあると思います。それは、小企業が地域にとってなくてはならない存在であるという、地域のコンセンサスです。
 人口減少による需要減少、グローバル化による供給増加、IT化による顧客の情報力向上で、小企業の経営環境は厳しいものになっています。大企業との経営力の格差は広がる一方で、従来通りの経営から抜け出せない小企業の多くが、廃業の危機に直面しています。経済効率という観点から見れば、そうした力の弱い小企業は廃業すべきとの意見が、地域でも主流になる恐れがあります。廃業支援という言葉が生まれる所以です。
 小企業の廃業が相次ぐ地域は、小企業の存在意義を再度、見つめなおす必要があります。小企業は、地域の人と人をつなぐ最小単位です。そうした小企業が数多く存在することで、地域の経済構造が柔軟性を保ち、雇用も維持されるのです。活気のある地域は小企業も元気です。小企業の元気が地域に活気をもたらしているのです。
 地域の元気を維持するために、小企業を支援する。そうしたコンセンサスを形成しなければなりません。失敗を恐れずに挑戦する小企業がどんどん生まれてくる土壌を作る。地域の振興策は、その視点を持つべきでしょう。