地方の若者よ、東京幻想は捨てよう

 「東京に行けば、稼げる仕事がたくさんある」と思っている若者が多いようですが、残念ながら、それは幻想です。
 「稼ぐ力」を表す指標として最近、よく用いられている労働生産性(従業者一人当たり付加価値額)をみると、一見、「稼ぐ力」が高そうな東京が、意外とそうでもないことがわかります。
 RESAS(地域経済分析システム)労働生産性のデータ(2012年)をみると、東京23区平均の労働生産性は782万円で、米子市353万円を倍以上、上回っています。しかしこれを区ごとにみると、23区平均を上回っているのは、上位4区の千代田区1,121万円、港区904万円、江東区816万円、中央区789万円だけです。残りの19区は平均を下回っています。さらにいえば、下位の6区(板橋区454万円、北区421万円、練馬区415万円、江戸川区396万円、足立区371万円、葛飾区364万円)は、全国平均457万円を下回っています。東京23区のうちの3割近い区が、全国平均の「稼ぐ力」に及ばないのです。
 東京23区をさらに18の大分類業種別に分けて414の区別・業種別でみると、そのうちの168の区別・業種が、全国平均を下回っています。約4割の区別・業種が、全国平均の「稼ぐ力」に及ばないということになります。
 区別・業種別でみると、23区平均の労働生産性を上回るのは77の区別・業種と約2割程度で、これらが平均値を引き上げています。東京で稼げるのは、一部の区の一部の業種に限られているということです。
 「東京に行けば稼げる」と思うのは、こうしたデータを十分に理解してからでも遅くはないでしょう。