米子市の生産性を今以上に上げるには

 国が無料で提供しているビッグデータ分析のためのツールにRESAS(地域経済分析システム)があります。これを使えば個人でも地域経済の分析を簡単に行うことができます。
 RESAS鳥取県内の労働生産性の市町村ランキングを取ってみると、米子市は第6位というショッキングな数字が出ます。米子市の上位には、上から境港市、岩美町、琴浦町倉吉市、江府町があります。鳥取市米子市の下の第7位です。県民の皮膚感覚では経済的に最も栄えている米子市が第1位で、次いで鳥取市境港市となると思いますが、上位に入っているのは境港市のみで、米子市鳥取市は中位に位置しています。なぜ山陰の商都と呼ばれるほどの米子市が県内第6位なのでしょうか。
 このような結果になるのは、データが企業単位で平均されているからでしょう。つまり、労働生産性の高い企業がたくさんあっても、低い企業がそれ以上にあれば、平均値は小さくなるということです。企業数の多い米子市鳥取市が上位に入らない理由はこれでしょう。実際、中分類業種などに細分化して労働生産性を見ると、米子市の労働生産性は東京22区(千代田区以外)にも引けを取りません
 では、米子市全体の労働生産性を高めるにはどうしたらよいでしょうか。労働生産性の低い企業の底上げを図ることが有効だと思います。そのためには関連する業種の企業を集中させて集積を作り、ITを活用して移動コストを下げることが第一です。地方の生産性が低いのは、自動車を使って移動する時間が長いために生産性が低下してしまうことが大きいと思います。しかし、まちがコンパクトな米子市なら自動車に依存する必要性は低いですから、集積は作りやすいはずです。そこに加えてITで連絡を取り合う業務形態を普及させれば、移動コストは大きく下げることができます。
 労働生産性を上げるコツは「ITの活用と人材育成」だとよく言われますが、なぜITの活用が必要かと言えば、移動コストを低下させられるからです。人材育成が必要だと言われるのは、情報の受発信力を高めることで情報の流通効率を上げるためです。現代は情報力がものを言う時代です。地域の情報力を高めるためにITの活用と人材育成は欠かせません。この視点に立って、米子市のまちづくりを進めていくべきでしょう。