アクティブ・ラーニング導入上の注意点

 文部科学省が2020年に予定している学習指導要領の改訂で、アクティブ・ラーニング(能動的学修)が注目されています。
 社会において自立的に生きるために必要な「生きる力」を育むため、①生きて働く「知識・技能」の習得、②未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成、③学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」の涵養を行うものです。ここでは主体的・対話的で深い学びが重視されています。
 これからの時代を担う人材を育成するうえで非常に重要な取組みですが、その導入に向けて教育現場では混乱も見られるようです。生徒をどのようにしてやる気にさせるか、成果の良し悪しをどう測るかがわからないからです。
 実はこれは従来の教育にも見られた大きな欠点でした。生徒をやる気にさせるにはテストを行うしかない、だから成果はテスト結果でしか測れないという欠点です。これが応用力のない受験エリートを増やして、我が国に閉塞感をもたらす一因となりました。単なるテストでは「生きる力」は育ちません。
 アクティブ・ラーニングが「生きる力」を育むためのものだとするなら、取組み方は明確です。ビジネスを実習させればいいのです。社会に出て生きるとは働くことであり、ビジネスに携わることです。ビジネスとは人(ニーズ)と人(シーズ)を結び付けて価値を生み出すことです。何に価値があるのか、どうやったら価値を生み出せるのかを考えることはスリリングです。やる気が自然と出てきます。そして成果は、商品やサービスがどれだけ売れたかで明確に測れます。
 アクティブ・ラーニングは「能動的学修」と訳すよりも、「ビジネス実習」と訳した方が適切かもしれません。その方が趣旨がストレートに伝わると思います。