引き算が地域を元気にする(by岩崎邦彦)

 小企業の経営に引き算が必要であるように、地域の活性化にも引き算の発想が必要、と岩崎邦彦静岡県立大学教授はいいます(岩崎邦彦引き算する勇気日本経済新聞出版社)。
 従来型の地域振興は、いろいろな魅力を並べて情報発信しようとしますが、これは足し算の発想であり、個性が薄まってしまい魅力が高まらない。むしろ引き算の発想で地域の売りをひとつに絞り、力強く情報発信していくべき、との主張です。
 成功例として挙げられるのが静岡県です。静岡県にはたくさんの日本一があり、「茶の都」「食の都」「森林の都」「水の都」「太陽の都」「花の都」のいずれでも情報発信できます。しかし、これらを列挙しては個性が見えなくなってしまう、むしろ「茶の都」に絞り込むことで全国的な知名度を上げているといいます。
 今、鳥取県「蟹取県」を名乗って情報発信しているのは、もしかしたら引き算の発想からかもしれません。山陰の各地域には、ぜひ引き算する勇気をふるって、活性化に取り組んでほしいと思います。