イケてるコンセプトは人間の本性を捉えている(by楠木建)

 企業の競争戦略はストーリーになっていなければならず、そのストーリーの起点にはコンセプトがある。コンセプトとは、「本当のところ、誰に何を売っているのか」という問いに答えることであり、人間の本性を捉えたものでなければならない、と一橋大学楠木建教授は言います(楠木建『ストーリーとしての競争戦略』東洋経済新報社)。
 リコーのコンセプトは「画像処理のデジタル化」、ベネッセは「コミュニティを大切にした継続型ビジネス」、ブックオフは「(本を)捨てない人のためのインフラ」、ホットペッパーは「狭域情報誌」、アスクルは「(庶務係)久美子さんの救済」、サウスウエスト航空は「空飛ぶバス」、スターバックスは「(職場でも家庭でもない)第三の場所」であり、これらはいずれも人間の本性を捉えている、というのが楠木教授の主張です。
 インターネットの普及などに見られるように、ビジネスを取り巻く市場環境や技術、好不況といった基礎条件は常に変化しているものの、人間の本性はたいして変化しない。その本性を捉えたコンセプトを考え、ストーリーにした企業がうまくいっているということです。
 新しいビジネスをイメージする際にも、人間の本性をどこまで捉えているかが大事というメッセージと受け取りました。