ジェンダーギャップ解消に挑戦する小さな世界都市(豊岡市)

 6月21日に世界経済フォーラムが発表した日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位で過去最低となりました。男女格差の大きさが日本の経済・社会の低迷を招いていると長年、言われながら解決の道筋が見えていない現状です。そんな中で地域を上げてジェンダーギャップ解消に取り組んでいる自治体があります。

 城崎温泉で知られる兵庫県豊岡市は、小さな世界都市となることを目指して、「コウノトリの野生復帰」「受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐまちづくり」「深さをもった演劇のまちづくり」「ジェンダーギャップ解消」に取り組んでいます。その詳細が、前市長・中貝宗治氏の著書『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』(集英社)で語られています。

 地域の人口減少の最大の要因は若い女性の流出であり、女性から選ばれるまちづくりをしなければならない。そのために、経済的魅力の乏しさ、文化的魅力の乏しさ、根強いジェンダーギャップの存在という壁に立ち向かわなければならない。そこで豊岡市は、「コウノトリ育む農法」を確立して付加価値の高い「コウノトリ育むお米」を海外でも販売したり、演劇祭を毎年開催して世界から人を呼び込んだりしています。

 ジェンダーギャップを解消するために、は地方創生総合戦略に「ジェンダーギャップ解消」を加え、「豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略」を策定して、ジェンダーギャップが解消したまちのビジョンを描きました。そして取組みの一つとして、2021年に日本政策金融公庫と連携して、女性のための仕事・職場への変革に取り組む事業者に金融支援を行うことにしました。

 ジェンダーギャップ解消に政府系金融機関を活用するという発想は、コスパの高い地方創生策を立案するヒントを与えてくれます。ジェンダーギャップ解消を政策目的に盛り込み、地域を上げて解決に取り組む豊岡市の挑戦が、多くの方の参考になることを期待しています。