地域で解決すべき課題はやはり起業・創業支援

 2023年版小規模企業白書(Ⅱー36)には、自治体が解決したい地域課題が掲載されています。三大都市圏ではトップが起業・創業支援、次が公共交通機関の縮小、三大都市圏以外ではトップが公共交通機関の縮小、次が起業・創業支援となっています。ここからわかるのは、やはり地域振興には起業・創業支援が欠かせないということです。

 起業・創業支援の重要性はだいぶ前から言われており、国を挙げて取り組んできました。会社設立の資本金の条件を緩和し、融資や補助金などの資金支援スキームを整備し、コンサルティング機関の新設などによる経営支援スキームも強化しました。しかし、起業・創業の数は期待したほどには伸びず、満足できる成果を生んだとは言えません。

 起業・創業支援だけで結果を出そうとしてもうまくいかないことは、これまでの経験から明らかになっています。では、どうしたらよいのでしょうか。一つのアイデアとして、まちづくり・ひとづくり・しごとづくりの重層的な取組みの中に起業・創業支援を位置づけて、官民の協働を進め、起業・創業を活性化することが考えられます。

 自治体がまちのあるべき姿のビジョンとそこへ至るストーリーを示し、教育機関が起業家人材の育成を行い、金融機関や経営支援機関が起業・創業を支援する。こうした地域一丸となった取り組みが必要です。

 地域のコンセンサスなくして起業・創業の活性化はありません。自治体がまちのビジョンとストーリーを示すことで、地域に必要な企業は何なのかについてコンセンサスが得られ、教育機関も必要な人材を育てるカリキュラムを組むことができ、金融機関・経営支援機関も富を生む資金支援ができるのです。

 これまで様々な紆余曲折を経て経験値が積み上がってきた起業・創業支援ですが、その経験を活かして、今後はさらに成果が上がる取組みが広がることを期待しています。