日本初!縮充戦略アドバイザーを置いた兵庫県佐用町

 今年4月、兵庫県佐用町は、新たなまちづくりを専門で行うポスト「縮充戦略アドバイザー」を設置し、まちづくりシンクタンクRoofの佐伯亮太代表を任命しました(5/31神戸新聞NEXT)。

 人口や税収が縮小しても住民の生活を充実させる「縮充」を実現するために、週1回、地域活動の見直しを助言したり、町職員にまちづくりの研修を行います。町役場の人員削減や制度改革を進めながら、行政サービスの質を維持することを期待されている「縮充戦略アドバイザー」。その挑戦が各方面から注目されています。

 人口減少が進む中で、どのような地域づくりを行うべきか悩む自治体がほとんどという状況で、「縮充」という戦略に思い切って舵を切った佐用町の英断は、大きな意義があります。「縮充」は、山崎亮関西学院大学教授が提唱するコンセプトです。人口減少や税収減少に対して、市民参加型の地域づくりを進めることで、楽しく暮らせるまちを維持しようというものです。

 ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者である河合雅司さんも、人口減少に対して戦略的に縮むことの重要性を主張しています。「縮充」という考え方は、今後ますます重要度が高まるでしょう。

 類似する考え方としては、徳島県神山町が「創造的過疎」というコンセプトに基づいて2007年からIT・農・食の新ビジネスを生み出していますが、IT人材やアーティストといったクリエイティブな人材を集めることで成功しており、他の自治体には展開しづらいところがありました。

 「縮充」というコンセプトで行政を効率化しながら行政サービスの質を維持する取組みは、全国の自治体がお手本とする余地が大きいように思えます。人口1万5千人の佐用町の挑戦がモデルケースとなることを期待しています。