SDGs活動で子どもたちを笑顔にする「まちの塗装屋さん」

 「子どもたちが笑える未来をつくりたい」とSDGs活動に取り組み、地域から注目される塗装店が、盛岡市にある2005年創業の川上塗装工業(株)です(日本政策金融公庫総合研究所『調査月報』No.171 P32-33「地域の未来を塗り替える塗装店」)。

 同社は、遮熱・断熱塗料ガイナ(GAINA)を学童保育施設の屋根に無償で塗装する「ホワイトルーフプロジェクト」を推進しています。施設の省エネ化と子どもたちの快適な環境づくりのためです。ボランティア活動なので、使用する塗料はメーカーから協賛という形で提供してもらい、作業を行うメンバーも地元有志が参加します。サッカーJ2のいわてグルージャ盛岡からも参加がありました。

 不要な布を回収して作業用のウエス(清掃布)に再利用する「リンクアップ・ウエス・プロジェクト」も行っています。近隣の家庭から不要になったTシャツやタオルを回収して、障害者が働く福祉作業所に発注して裁断してもらい、自社で使用するだけでなく、販売して得た収益を寄付に回したりしています。

 地元でSDGs活動を行う他の団体や企業が情報発信できるようにと、イベントスペース「ソノツヅキ」をレンタルしてもいます。ショールームにする目的で改装した本社3階を転用したものです。イベントのテーマは、子ども食堂運営会社によるフードロス削減、電気工事業者による再生可能エネルギーや脱炭素などです。来場者がここで見たものを各自の行動につなげてほしいとの思いが「ソノツヅキ」という呼び名に込められています。

 高い意識を持ってSDGs活動に取り組む社員13名の「まちの塗装屋さん」は、まちづくりの担い手として地域から大いに期待され、賛同者を増やしています。小企業から始まるSDGsの動きは、着実に未来のまちづくりへと続いていくことでしょう。