移住促進型ホテルでまちづくり(愛媛県松野町)

 地方創生のために移住・定住促進のさまざまな活動が行われていますが、なかなか目に見えた成果が出てこないのが現状です。そんな中、移住促進型ホテルをつくってまちづくりをしようという動きが出ています(『日本公庫つなぐ』22号)。

 中国・四国地方でビジネスホテルやコンセプトホテルを展開する(株)サン・クレア広島県福山市)は、コロナ禍で宿泊客が激減しました。新たな価値を提供できないと宿泊客は戻らないと考えた細羽社長は、「ただいっときの仮の宿」よりも「暮らすように泊まるホテル」を提供することに活路を見出しました。そこで2020年12月、日本初の移住促進型ホテルLAZULI Hiroshima Hotel & Loungeを広島に開業し、話題となりました。ここでは宿泊客が広島を満喫し、土地に馴染むサポートを受けられ、スタッフに移住相談もできます。

 広島での手応えをもとに、同社は今、四万十川の源流・目黒川沿いの暮らしを楽しめる愛媛県松野町に移住促進型ホテルをつくる計画を進めています。社長とスタッフが松野町で暮らしながら、オンラインを活用した診療や、授業、廃校の再利用に取り組んでいます。宿泊業からまちづくりにまで手を広げて、旅行者・移住者を増加させて地域を活性化する計画です。既に町周辺には、パン屋やピザ窯が作られ、トレッキングやラフティングなどのレジャー体験も人気で人が集まっています。

 旅行から滞在、そして移住へと、宿泊客の心を動かす移住促進型ホテルを展開する同社。これからが楽しみです。