地方創生のための有効な施策が模索される中、これこそ模範的な施策ではないかと目を開かされるイベントがありました。5月25、26日、小牧市のパークアリーナ小牧で開催された「こまき産業フェスタ2019」です。
市民と企業の交流を促進し、地域産業を活性化することを目的として、小牧商工会議所とこまき産業フェスタ実行委員会が主催し、小牧市が共催、中部経済新聞社などが後援しています。出展者は、地元の企業に加えて商工会議所や県信用保証協会といった企業支援機関、大学・高校といった教育機関、自衛隊、市の消防本部なども含めた70団体(95ブース)です。出展企業には、カゴメ(株)、住友理工グループ、かんてんぱぱショップといったメジャー企業も含まれています(注:かんてんぱぱショップは伊那食品工業(株)の直売店ですが、同社の年輪経営は非常に優れており、トヨタが学ぶほどです)。
開会式では、小牧市長から市のビジョン「新産業を起こして持続的発展を可能にする」と、そのビジョン実現のために商工会議所内に「こまき新産業振興センター」を設置したことが力強く語られました。
会場内には、大学や高校がひとづくりの取組みを披露するブース(出張工作、子供向け遊びコーナー、実習教材・作品の展示・実演)が設けられていました。さらに子供向けの職業ミニ体験コーナーも設けられ、万華鏡やコースター作り、測量機器の操作、フラワーアレンジメント、ロボット操作、サンドブラストオリジナルグラス制作、建築物実験(紙で人を支える実験)を体験できるアトラクションなどが用意されていました。
会場は2日間で2万人の来場者で賑わい、まさに祭の様相を呈していました。ほとんどが家族連れでした。参加された方々は、地元にはこれだけ優れた企業や教育機関があることを知り、地元に誇りを持ち、地元に残って地元を元気にしようという気持ちになれたのではないかと感じました。地方創生は、まち・ひと・しごとづくりですが、まちのビジョンが示され、ひとづくりの取組みが示され、地元にしごとがあることが市民に示された点で、大きな意義があったと思います。
祭の趣旨は、地域の人々が一堂に集い、地域の絆を再認識することで、地域の共同体としてのベクトル合わせを行い、新たな未来に向かう推進力とするものだと思います。その意味で「こまき産業フェスタ」は祭の本流を行く模範的なイベントであるとともに、地方創生の模範的な施策であると言えます。「新たな出会い、未来につながる小牧パワー」というキャッチコピーの通り、新たな交流から生まれる未来を予想させるすばらしい祭でした。