米子市の労働生産性を高めるには

 『日本再興戦略』改訂2015のサブタイトルに生産性革命が謳われたことで、各自治体においても生産性向上に取り組むような動きが起きています。RESAS(地域経済分析システム)を活用してビッグデータを分析し、施策を立てようというところも出てきています。では具体的な施策の考え方について、米子市を例にみてみます。
 米子市の全産業の労働生産性は、2012年のデータで353万円です。これを高めるには、どうしたらよいでしょうか。大分類業種ごとのデータをもとに考えてみます。
 第一に、最も寄与度の大きい卸・小売業の労働生産性をさらに高めることです。米子市は、商都と呼ばれるだけあり、卸・小売業の比重が最大です。全産業平均の労働生産性への寄与度は27%もあります。最も強い部分の強みを再認識して、さらに強くする。このために、中心市街地の活性化や、大山ブランドのパワーブランド化が重要になります。
 第二に、2番目に寄与度の大きい医療・福祉の労働生産性を高めることです。鳥取大学医学部附属病院をはじめとして医療機関が充実している米子市は、労働生産性に対する医療・福祉の寄与度も大きい(19%)。この部分は技術革新の余地が大きいので、さらに伸ばしていくことが十分に可能です。先端医療都市としての医療技術の向上と情報発信が必要になるでしょう。
 第三に、米子市でその位置づけが重視されていながら労働生産性の水準が最も低い宿泊業・飲食サービス業の生産性を伸ばすことです。これらの業種の寄与度は5%ですが、もし全産業平均まで生産性を伸ばすことができたら、全産業平均の労働生産性は4%向上します。それだけのインパクトを秘めた部分といえます。
 宿泊業・飲食サービス業の労働生産性は、185万円です。これほど低いのは、アルバイトやパートを多く雇っていることもあるでしょうが、賃金水準が低いことも影響しているでしょう。ここを高めるように各種の経営改善を図っていく。それをバックアップすべく、行政サイドでも、まちレベルで集客力を高めるべく、まちの魅力を情報発信していく。
 『米子がいな創生総合戦略』でまち・ひと・しごとを創生する施策が策定されましたが、そこに盛り込まれた施策を着実に実行していくことで、企業の稼ぐ力を高めていくことが、自治体に求められています。