女子大生パワーで移住&まちおこし(愛媛県双海町)

 都会から祖父母の暮らす田舎にUターンして事業を起こし、まちおこしに拡大している女性がいます(日本政策金融公庫総合研究所『調査月報』No.166 P16-19「双海町のファンを増やす」)。

 上田沙耶さんは、愛媛県松山市生まれ。小学6年生の時に横浜市に引っ越し、青山学院大学に進んで経営学を学んでいました。大学2年生の時に、卒業後の進路を考え、祖父母が暮らす愛媛県伊予市双海町で事業を起こすことを決意しました。子供の頃の楽しい思い出があふれる故郷で生活したいと考えたからです。大学4年生になった2020年4月に地域おこし協力隊に選ばれ、双海町に移住しました。大学の授業はオンラインで受講し、無事、卒業しました。

 事業は、祖母が経営し、コロナ禍で休業していた喫茶店ポパイを引き継いで再開しました。地元産のイワシと醤油から作るスープが自慢の看板メニュー「中華そば」を復活させ、双海町ハウスミカンから作ったジュース、小学生からのリクエストで作った双海町イチゴのパフェもメニューに載せました。「ふたみおうち便」というオンラインショップのサイトを立ち上げ、双海町産の鱧骨切りフィレ、鱧ごはんの素、鱧だしラーメン、マナガツオ西京漬、要ミカンジャム、マドンナゼリーなどを通信販売してもいます。商品には「ふたみ図鑑」という街の紹介を載せた冊子も添えています。2022年3月には、個室2つ、相部屋1つのゲストハウスもポパイの上階にオープンしました。ゲストハウスの開業資金は地元の金融機関から支援を受け、さらにクラウドファンディングで200万円を調達しました。

 上田さんは、こうした一連の活動を全国に双海町のファミリーを作る活動なので「双海FAM」と呼んでまちおこし事業にしています。1955年に1万人あった人口が今は3,000人まで減少している双海町ですが、上田さんの活躍と地域のサポートで元気を盛り返しつつあります。