生産性が高いレストランの自走するチーム作り

 サイゼリヤの手法を参考にして生産性を3.7倍にした東京目黒のイタリアンレストラン「ラッセ」のチーム作りは、4つの特徴があります(村山太一なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法飛鳥新社)。

 1つ目は、大幅な権限移譲をして上下関係をなくしたことです。2つ目は、セクション間の垣根をなくしたことです。ホールの仕事をキッチンのスタッフが手伝ったり、逆もあったりします。3つ目は、スタッフ全員がチームにとって何がベストかを考えるようにしたことです。その時々の混雑状況をスタッフ全員が情報共有して一人ひとりが最適な動きをします。4つ目は、仕事の仕方を手取り足取り丁寧に教えるようにしたことです。こうすることで、半年で一人前に育つようになりました。

 こうした取り組みで自走するチームを作り、それをスタッフが自作したマニュアルで補うようにしました。これにより、スタッフが自分の頭で考えてマニュアルを改善し、それに基づいて生産性が上がり、さらなる改善アイデアが生まれるという好循環ができました。

 このようにしてできた自走するチームは、コロナ禍でもテイクアウト事業を行うために菓子製造業許可や惣菜製造業許可の申請を自発的に行ったり、ネット通販を行うためにWEBサイトに専用ページを作成したりしました。若手のレストラン関係者を集めて無料のワイン勉強会を開催したり、古着と料理をコラボしたポップアップストアを開いたりするスタッフも現れました。

 「自走するチームが一番強い」と経営者の村山さんは言いますが、「ラッセ」はまさにスタッフ全員が高いモチベーションを持って自走する最強チームです。飲食店の理想の姿だと思います。