全国から人を呼ぶオンリーワン万年筆(鳥取市)

 全国の本物志向の万年筆ファンが足を運ぶ万年筆メーカーが鳥取県にあります(坂本光司もう価格で闘わない-「より安く!」は誰も幸せにしない』あさ出版)。

 (有)万年筆博士は、鳥取駅前商店街にあり、万年筆の製造・修理を行います。1945年に創業し、2008年に3代目の山本竜さんが事業を引き継ぎました。現在の年商は3,500万円です。

 同社がつくる手作り万年筆は、平均価格が18万円、最高価格は50万円を超えます。売上の半分は海外の顧客が占め、国内では直木賞芥川賞受賞作家や高名な映画監督も愛用しています。納期が1年以上先でも注文が入る人気ぶりです。

 「100年以上使えるものをつくる」という製品コンセプトで、顧客の要望と「書き癖診断カルテ」をもとに軸の太さや長さや重さ、書き味、インクの色、イニシャルのトータルバランスを考慮した「あなただけの商品」をつくり上げるところが同社の特徴です。

 同社の万年筆の魅力は、営業せずとも全国から鳥取県に顧客を呼び寄せるほどです。海外からの引き合いもあります。オンリーワンがコロナ禍を生き抜く力になる、模範的な事例です。