地方が再生するカギは金融機関による伴走型支援サービス(by冨山和彦)

 地方がコロナショックを乗り越えて再生するには企業の活性化が必要です。企業再生の第一人者である冨山和彦氏は「地方企業の潜在力を顕在化させるカギは地域金融機関が握っている。伴走型支援サービスを担えるからである」といいます(冨山和彦『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える文藝春秋)。
 氏がいう伴走型支援サービスとは、経営コンサルティング機能と人材紹介機能のハイブリッドな形だそうです。まず経営理念や創業の精神まで遡って事業戦略や稼ぎ方の見直しを行い、内部・外部環境を分析し、オーナーと一緒に事業戦略・今後の稼ぎ方を再定義します。加えて社内の組織能力を確認して経営課題を特定し、必要な人材像を明確にして外部の人材を地方企業に紹介することです。
 伴走型支援サービスの担い手としては、地域の経済事情と企業の内部事情に通じており、ソリューションを提案する能力があり、人材を集められる信用力をもつ地域金融機関こそが適役であると氏は指摘します。
 コンサルティングと人材紹介を一体で行う伴走型支援サービスは、地域金融機関の新たな収益源になりうるという冨山氏の提言は優れた洞察に満ちています。金融機関と中小企業の双方から注目され、要望が寄せられることを期待しています。