日本における女神的リーダーシップ

 日本の若者たちは、「金の力」よりも「変える力」を信じていると、ジョン・ガーズマ&マイケル・ダントニオは言います(ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ『女神的リーダーシップ』プレジデント社)。
 ガーズマとダントニオが取り上げる日本の女神的リーダーシップは、さまざまです。
 東日本大震災の際に、ルームドナー(宿泊所斡旋)で被災地支援を行った若手起業家。支援者と協働してサバの缶詰を「希望の缶詰」として販売した食品メーカー。うつ病に悩む人を認知行動療法の専門家に引き合わせるサイトを運営するうつ病患者。育児に悩む母親たちの互助組織を立ち上げた女性起業家。シェアハウスを提供する若手起業家。聴覚障碍者に手話サービスを提供する若手起業家。持続可能社会づくりを目指すウェブマガジン編集長。バングラデシュで制作した婦人向け雑貨をアジアで販売する女性起業家。
 女神的リーダーシップの日本の事例は、男性が多い点が注目されます。草食系と呼ばれる若者気質の美点が女神的リーダーシップにあるのかもしれません。
 「日本は、多くの先進国の将来を指し示しているのかもしれない。80年代のバブルや物質主義とは無縁の若者は、理念を重んじるビジネスモデルを築いている」という指摘は、今どきの若者の良さを再認識させてくれると思います。