下り坂の時代には長期伴走型創業支援

 これから時代の創業支援を考えるには、次代を担う若者の意見を参考にすることが有益でしょう。
 日本政策金融公庫米子支店が2月と7月に行った米子高校1年生への出前授業では、創業計画の実現性についての問題点がいくつか挙げられました。「少子高齢化の時代に需要があるとは思えない」「自慢の商品が本当に売れるか不透明」「数字面を押さえていない」「40歳での起業は遅すぎる」「借入金の10年返済は長期でリスキー」「人脈が弱い」など。
 これらの問題提起は示唆に富んでいます。創業がうまくいかない理由と、創業が少ない理由を説明しているからです。需要が縮小し競合が激化する世界、不確実性が増しリスクが高まる世界でどう振る舞えばよいかわからないし、教わっていない。この現状で創業しろという方に無理があるでしょう。そこで、こうした現状を解決する創業支援のあり方を考えてみます。
 第一に、小学生の段階から起業家教育を充実させます。経営者の資質(目的意識、経営の知識、人脈構築力、アイデア発想力、資金管理能力)を伸ばすような教育を早いうちから施します。
 第二に、高校や大学を卒業して就職した若者には、就職先でのキャリア・人脈・自己資金の形成を支援して、30歳までに起業できるようにします。若いうちに起業して、経営者としての経験を積ませます。
 第三に、起業家が失敗しても、傷の浅いうちに廃業させ、再起できるよう支援します。「起業に失敗はつきもの」という常識を浸透させ、再挑戦への道を開きます。若いうちの失敗であれば取り戻すことが可能です。
 以上の3点が、下り坂の時代に入った我が国の創業支援に必要なポイントです。これらがケアされるような長期伴走型の支援でないと、若者たちはなかなか起業に踏み切らないでしょう。