起業してはいけない人の条件

 政府が開業率10%を目標に掲げて創業支援に力を入れていることから(日本再興戦略改訂2015)、起業を目指す人が増えています。その反面、残念ながら起業して失敗するケースも増えています。起業のための準備不足が大きな理由ですが、加えて、起業してはいけない人が起業希望者に多く含まれているからです。起業してはいけない人の条件を挙げてみます。
 第1に、経営者の資質が不足している人です。経営者の資質とは、目的意識、事業経営の知識、人脈構築力、アイデア発想力、資金管理能力です。これらなくして経営者とは言えませんが、起業してはいけない人は十分に備えていません。
 第2に、補助金や借入金に頼り過ぎる人です。自分で資金を集められないため、開業資金の大半を行政の補助金や金融機関からの借入金に頼ろうとします。経営者となってからの悩みの大半が資金繰りですから、最初から補助金や借入金頼みの姿勢には問題があります。
 第3に、勤務先でリストラされたり、就職の見込みが立たないために起業を考える人です。もともと起業を考えていなかったわけですから、起業しても事業が続きません。就職してやっていける能力のある人が準備を整えて起業するのが妥当です。
 起業してはいけない人の条件については、世間でもっと広く知られるべきでしょう。それを踏まえ、起業して成功できるように、学生に対して経営者の資質を備える教育を充実させる必要があります。