小学生に起業家教育(鳥取県西部)

 地方創生を実のあるものにするため、最近では創業支援の重要性が強く訴えられるようになりました。しかし、創業支援の望ましいあり方は示されていないように思えます。
 創業支援は、創業して事業が軌道に乗るところまで見据えて支援しなければなりません。ところが実際には、創業しても事業を継続できず、3年もたないという企業が少なくありません。失敗する創業者によく見られる傾向は、準備不足です。経験、人脈、自己資金などが不足しているのに創業に踏み切り失敗するのです。これを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
 ひとつの策として、小学生の時から起業家教育を行うことが考えられます。これから世の中の常識を学んでいく子供に教育を行い、経営者の資質(目的意識、事業経営の知識、人脈構築力、アイデア発想力、資金管理能力)を磨いていくのです。こうすることで、早いうちから起業家に求められる力を理解し、積み上げていく。そうすれば、高校や大学を卒業する頃には立派な起業家の卵に育ちます。
 10月に鳥取県西部9市町村が共同で小学生を募り、米子市で起業家教育を行いました。6人ごとに会社を作り、社長、会計・仕入・製造・販売・宣伝の責任者を決めて、事業計画の作成から資金調達、商品制作、販売、決算までを学ぶビジネスゲームです。60人近い子供たちが目を輝かせながら、真剣に取り組んでいました。会社のモットーを聞かれて「創造・団結・助け合い」と答えた小学生がいました。「銀行からお金を借りるのに苦労した」と答えた子もいました。小学生にして経営理念を考え、資金調達の苦労を経験したわけです。商品を完売したチームは雄叫びを上げ、おとなしい県民気質という風評を吹き飛ばすほどの元気を見せました。
 小学生のうちからチームプレー、役割分担、金銭感覚、経営感覚、人脈づくり、PRの仕方といった社会人に求められる能力について学んだことは、子供たちにとって大きな財産になったと思います。この起業家教育を県西部9市町村が協力して行った点がすごいところです。ぜひ県内全体に広がってほしいと思います。