見えにくくなっている米子市の問題

 地方創生の文脈で米子市の問題を捉えようとすると意外と難しいことがわかります。
 7月21日、米子市役所地方創生有識者会議が開かれ、平成27年度の地方創生の取組の結果が報告されました。27年10月1日の米子市の人口は149,382人。これは国勢調査の数値であり、前回(5年前)から0.75%増加しています。住民基本台帳の人口は26年と27年で比較すると若干減少していますので、最近の人口は横ばい傾向と見るべきでしょう。それでも国立社会保障・人口問題研究所の推計値(145,385人)や米子市の目標人口(147,776人)を大きく上回る実績です。
 地方創生の目的が人口減少時代への円滑な対応であることを考えると、米子市の人口が横ばいで推移していることは非常に良好な結果であると見ることができます。その一方で、やよいデパートの閉店に象徴される中心市街地の衰退ぶりなどを見ると、これでよいのかという疑問も出てきます。人口は維持しているのにまちは衰退しているように見える。このギャップは何なのでしょうか。
 実は、人口が横ばいで推移している反面、事業所数は減少しています。経済センサスで平成21年と26年を比べると、事業所数(内容不詳除き)は7,683から7,138と500以上減少しています。まちなかに空き店舗が目立っているのはそのせいです。事業所数が減り、空き店舗が増えているようでは、まちに活気がないと見えるでしょう。
 事業所数の減少は、高齢化によるとの見方が有力です。米国でも、高齢化の進展により、事業所数が減少に向かい出したと言われています。米子市でも高齢化率が平成23年以降、毎年約1%ポイントずつ上昇しています(24.7→25.6→26.4→27.3)。このペースで進めば、来年には高齢化率は30%を超えます。
 高齢化と事業所数の減少を、米子市が優先的に対処すべき問題として捉えるべきだと思います。