若者の起業意識が低い「なるほど」の理由

 世界69ヵ国を調べて比較した起業意識調査「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター調査」では、我が国の起業意識が際立って低いと指摘されています。なぜこうなるのか。若者の起業意識が低いからだとは言われていましたが、その理由がよくわかっていませんでした。
 2月18日に米子市内の高校で行われた融資課長体験授業からは、若者の起業意識が低い理由について、重要な示唆が得られました。この授業では、経験・技術・人脈・自己資金が十分ある創業希望者の有望なビジネスプランを生徒に評価させました。融資すると答えた生徒が大半でしたが、融資しないと答えた生徒も少なからずいました。
 融資しない理由として「計画が楽観的」「少子高齢化で需要が減少している」「顧客のニーズに合うかわからない」「10年先は世の中がどうなっているかわからない」といった意見が寄せられました。これらの意見に若者の鋭い現状認識が表れています。
 少子高齢化の進行で供給過剰・需要不足が生じており、企業の競合が激化していることを高校1年生でも認識しています。これでは創業してもうまくいくとは思えない。もっともな意見です。実際、我が国では20年以上、廃業率が開業率を上回っています。
 厳しい環境の中でがんばっている中小企業もあるにはありますが、なかなかその様子が伝わらない。一時的にもてはやされたベンチャー起業家があっという間に失敗して消えていく。こうした状況を前にしては、若者の起業意識が高まらないのも当然でしょう。
 小規模企業であれば、リスクも少なく、失敗しても再チャレンジしやすい。そうやって挑戦し続ける元気な企業がある。こんな事例を地元で見つけて若者たちに伝えていくことが大人の役目ではないかと思います。