小企業への長期インターンシップの意義

 6月9日、岐阜市NPO法人G−net名古屋市で開催した「ホンキ系インターンシップ名古屋フェア」を見てきました。同法人は他では例を見ない、6カ月に及ぶ長期のインターンシップを2004年から行っています。今回のイベントも、小企業と大学生の出会いの場としてセットされたものでした。金融機関や行政機関の関係者も見学に訪れていました。
 会場では、個々の小企業を囲んで大学生が島をつくり座談会形式で相互理解を深めていました。その後、インターンシップを受け入れた経営者と参加した大学生の体験談を聞きましたが、目から鱗が落ちる話が沢山ありました。
 第一に、経営者と学生のどちらもインターンシップが自身の成長につながったと声を揃えていたことです。両者のプレゼンのレベルが高いことからも、確かにそうなのだろうと納得させられました。学生が働くことでキャリアレディネスを身に付けるのはわかりますが、経営者も、学生から5年後のビジョンは何かなどを突っ込んで訊かれることで、経営観が明確になるようです。
 第二に、新規プロジェクトを任せるには、インターンが適任であることです。小企業は社内に人手の余裕がありません。しかし、経営者は新しいことに挑戦したいのです。そうした時にインターンにやらせてみると、真剣に取り組むので、プロジェクトの成功見込みがわかります。完全に失敗したケースでも、失敗するとわかってよかったと喜ばれたそうです。社員に任せて失敗するよりも傷が浅いのでしょう。インターンの受け入れは、新たな挑戦のきっかけになるのです。
 第三に、学生のポテンシャルがすごいものであること。東京に一人で行って、百貨店のバイヤーと商談をまとめた学生。得意の英語力で海外に販路を開いた学生。直売店の月商を100万円にするという目標を与えられ、様々な企画を出してがんばった学生。最初のころは毎日、泣いてばかりだったのが、6カ月のインターンシップの最後には正社員以上の仕事ぶりを発揮した学生。学生の成長ぶりには目を見張るものがあるそうです。
 なぜインターンシップに応募したのかという問いに、学生たちは一様に「遊んでばかりの学生生活が嫌だった。自分を成長させたかった」と答えていました。今の若者はみんな真面目だねと経営者の方が感心していましたが、若者にそれだけのやる気と情熱があるというのも一つの発見でした。
 小企業のことをまったく知らなかった学生が、小企業のすごさを体験してリスペクトするようになったことも大きな成果でしょう
 この模様は7月下旬にNHKのEテレで放映されるそうです。経営者と学生の熱さが全国に発信される日が楽しみです。