サーバントリーダーシップが流行る理由

 リーダーがフォロワーに奉仕する形でリーダーシップを発揮するサーバントリーダーシップが静かなブームです。日本サーバントリーダーシップ協会によれば「リーダシップが発揮できない」「部下の指導がうまくいかない」「職場の雰囲気が重たい」と悩む企業の多くは支配型リーダーシップを取っており、この悩みを解決するものがサーバントリーダーシップであるといいます。サーバントリーダーシップを発揮すると、「ふと気づいたらいろいろな人がついてきた」「意外なほど成長している部下がいる」「職場に勢いがある」という状況が生まれるそうです(同協会HP)。
 サーバントリーダーシップは、わかりにくい概念です。サーバントリーダーの10の特性は、傾聴、共感、癒し、気づき、納得、概念化、先見力、執事役、人々の成長への関与、コミュニティづくりです。これらは癒しや執事役を除けば、通常のリーダーシップにも含まれるものです。そのためサーバントリーダーシップは、召使いのようにリーダーシップを発揮するものと誤解されることも多いようです。
 サーバントリーダーシップを正しく理解するには、今、必要とされる理由を考えるべきだと思います。
 多くの企業では従来型のリーダーシップが機能しにくくなり、リーダーが部下目線まで下りないと組織がまとまらなくなっています。1990年以降の開業率の低迷で企業の新陳代謝が進まず、古い企業が古い態勢のまま存続し硬直化しています。反面、企業を取り巻く環境はIT化、グローバル化少子高齢化で大きく変化しています。こうした内部態勢と外部環境のミスマッチが、企業の組織改革への圧力になると同時に、組織内の上司と部下の関係にも影響するようになっています。その結果、リーダーシップの取り方が見直しを迫られ、サーバントリーダーシップが注目されているのだと思います。
 硬直化した組織をボトムアップで立て直すためにリーダーシップを発揮するなら、現代日本のリーダーはサーバント(奉仕者)的でなければならない。激動する時代の要請が、サーバントリーダーシップを流行らせているということなのでしょう。