開業率が廃業率を上回るようにするには

 日本再生戦略では、起業支援の目標を「2020年までに開業率が廃業率を定常的に上回る」こととしています。現状はどうかといえば、1990年頃から開業率が廃業率を下回る状態が続いています。20年以上にわたり開廃業率の逆転現象は続いており、改善されていません。そのため事業所数は減少する一方です。
 表立って指摘されることがありませんが、市場が縮小傾向にある中では、開業率が上がれば廃業率も上がります。新規参入によって競合が激化することにより、新規参入者か既存事業者のどちらか、あるいは両方が淘汰されるからです(2008年版中小企業白書P146では、Grangerの因果性テストを行い、前期以前の開業率が当期の廃業率に影響していると指摘しています)。
 デフレが続いているというのも、同じ市場の中で競合が激化することで価格競争に陥り、物価が下がっているという解釈が成り立ちます。商品が同質化する中で競合すれば価格を下げるしか手がないからです。
 デフレ脱却を目指すのなら、新しい価値(商品・サービス)を生み出す企業を輩出しなければなりません。それが新しい需要を生み、お金の流れを生み、望ましいインフレをもたらすのです。
 新市場(ブルーオーシャン)を生み出す起業を支援する。これこそが、開廃業率の逆転を是正する特効薬です。